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【公的機関アドバイザー解説】eBay輸出はトランプ関税で終わるのか?「日本セラー独り勝ち」のシナリオと対策

【公的機関アドバイザー解説】eBay輸出はトランプ関税で終わるのか?「日本セラー独り勝ち」のシナリオと対策

【公的機関アドバイザー解説】eBay輸出はトランプ関税で終わるのか?「日本セラー独り勝ち」のシナリオと対策

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「トランプ大統領の再登板で、アメリカ全輸入品に10〜20%の関税がかかるらしい」 「もうeBay輸出はオワコンだ。撤退するしかない……」

今、そんな悲観的な声が溢れています。 確かに、将来の不透明さはビジネスにとって最大のリスクです。不安を感じて、出品の手を止めてしまう気持ちも痛いほど分かります。

しかし、公的機関の海外展開アドバイザーとして、多くの越境ECデータを見てきた私の見解は異なります。

「今こそが、日本セラーにとって最大の参入チャンスである」

なぜそう言えるのか? それは感情論ではなく、「為替」と「競合」のデータを冷静に計算すれば明らかだからです。

本記事では、多くの人が見落としている「トランプ関税の真実」を、具体的な収支シミュレーションを用いて解説します。これを読めば、あなたが今eBayを辞めることが、いかに大きな「機会損失」であるかに気づくはずです。

最大の脅威は「日本への関税」ではない。「対中国関税」だ!

トランプ氏の掲げる関税政策の「本丸」をご存知でしょうか? 日本から発送される「中国製(Made in China)」さえも、高い関税がかかります。それは日本ではなく、中国に対する高い関税政策です。

2025年5月に米国の対中追加関税は145%にもなっていましたが、米国の対中関税は30%(10%+20%)の関税が適用される状況に落ち着きつつあります(日経新聞11月5日)。

これが実行されると何が起きるか。 eBayという巨大市場から、これまで価格競争で猛威を振るっていた「安価な中国製品」が駆逐されます。30~40%もの関税が乗れば、もはや彼らは安さを維持することができません。

従来、日本製(Made in Japan)の商品が、どれだけ中国により安価なコピー商品に駆逐されてきたことか。それがアメリカ市場においては通用しなくなります。

では、行き場を失ったバイヤー(購入者)はどこへ流れるでしょうか? 品質が高く、関税率が相対的に低い日本製品です。

つまり、今回の関税騒動は、米中摩擦による「漁夫の利」を日本セラーが得られる千載一遇の好機なのです。ライバルが消えた海で、日本の中古良品やホビーが独占的な地位を築くシナリオが、水面下で進行しています。

【徹底検証】関税・取引手数料・送料を全部引いても「今」が稼げる理由

「関税がかかると利益が吹き飛ぶ」と心配されている方も多いでしょう。しかし、冷静に電卓を叩いてみると、全く違う景色が見えてきます。

「関税だけじゃない、取引手数料も送料も高いんだ!」 その通りです。ビジネスは売上ではなく「手残りの利益」が全てです。

そこで、以下の「現実的な条件」ですべての経費を差し引いた最終利益を比較してみましょう。

  • 販売価格: $100
  • 送料: $30(合計売上 $130)
  • 送料実費: -$30(同額と仮定)
  • 手数料: 20%(eBay手数料、決済手数料、広告費など含む)
  • 関税: 15%(DDPによりセラーが負担する)
  • 仕入額:5,000円(同額と想定)

比較するのは、「平和だった数年前(1ドル110円)」と「トランプ政権下(1ドル155円)」です。
シミュレーションを行った結果「トランプ関税でも、今のインフレ、円安の時代は稼げる」という衝撃的な結果が出ました。

日米合意に基づく関税率について詳細を知りたい方はeBayジャパン【重要】日米合意に基づく関税率をご覧ください。

Orange Connex 社)SpeedPAKの関税率について詳細を知りたい方は日本発米国向けサービスの予測関税率変更のお知らせをご覧ください。

シミュレーション①:100ドルの商品を販売した場合

比較対象
A:数年前(eBay輸出 平穏期)|1ドル=110円、関税0%
B:アフタートランプ|1ドル=155円、関税15%はDDPによりセラーが負担

項目A : 平穏期B : トランプ政権下結果
①合計売上(商品+送料)$130$130
②手数料(20%)▲$26▲$26
③送料実費分▲$30▲$30
④関税$0▲$19.5コスト増
⑤手元に残るドル$74$54.5関税分減少
⑥為替レート110円155円(+45円)円安の恩恵
⑦日本円売上8,140円8,447円増えた
⑧仕入額5,000円5,000円
⑨利益3,140円3,447円利益増 +307円

【衝撃の結論】 見てください。 関税15%を負担し、ドルベースでの利益は「74ドル→54.5ドル」へと19.5ドルも減っているにもかかわらず、日本円に換算すると「今のほうが儲かっている」のです。

つまり、私たちにはそれだけの『防御力(バッファ)』があるのです。

これが「歴史的円安」の破壊力です。 「関税が15%かかるから辞める」というのは、「円安の追加ボーナスを捨てている」のと同じことになってしまいます。私たちは、今、それほど強力な「円安」という武器を持っています。このアドバンテージは揺らぎません。

しかし、この比較結果だけでも、物価高騰の影響による仕入価格が考慮されていない点があります。そこで、物価高をシミュレーションの要素に入れることにします。

シミュレーション②:仕入の物価高を考慮して100ドルの商品を販売した場合

  • 販売価格: $100
  • 送料: $30(合計売上 $130)
  • 送料実費: -$30
  • 手数料: 20%(eBay手数料、決済手数料、広告費など含む)
  • 関税: 15%(DDPによりセラーが負担する)
  • 仕入額:5,000円(物価高により6,000円)

A:数年前(eBay輸出 平穏期)|1ドル=110円、関税0%
B:アフタートランプ|1ドル=155円、関税15%はDDPによりセラーが負担

項目A : 平穏期B : トランプ政権下結果
①合計売上(商品+送料)$130$130
②手数料(20%)▲$26▲$26
③送料実費分▲$30▲$30
④関税$0▲$19.5コスト増
⑤手元に残るドル$74$54.5関税分減少
⑥為替レート110円155円(+45円)円安の恩恵
⑦日本円売上8,140円8,447円増えた
⑧仕入額5,000円6,000円コスト増
⑨利益3,140円2,447円利益減 ▲693円

【衝撃の結論】 仕入価格の物価上昇を考慮すると、確かに「今のほうが693円も損している」ことが分かります。

多くの日本セラーは円安という恩恵を、物価の高騰分でバッファを消費してしまい、赤字が続出して、eBayから撤退してしまったセラーも多いことでしょう。

アメリカの物価は日本の比ではない。物価水準は2020年比で20%以上 「ラーメン1杯3,000円」の現実

物価高を考慮するということであれば、販売価格も見直す必要があります。

「米国のインフレ率は落ち着きを見せていますが、物価水準そのものは2020年比で20%以上も高騰したままです。さらにトランプ関税により、米国内の輸入品価格はさらに上がります。 結果として、相対的に価格の上がっていない日本の中古品は、彼らにとって『激安の宝の山』に見えているのです。

【日本人とアメリカ人の金銭感覚のズレ】

  • 日本人: 「1万円の商品に送料3,000円? 高すぎる!」
  • アメリカ人: 「ランチ1回で$20(3,100円)飛ぶ国だから、$100の商品は安く感じる」

この「インフレ格差」があるため、日本セラーが提示する価格は、彼らにとって依然として「リーズナブル(お買い得)」に映るのです。

シミュレーション③:物価高を考慮して販売価格を見直して販売した場合

  • 販売価格: $100 ⇒ 物価高により$110
  • 送料: $30(合計売上 $130)⇒ 物価高により$40(合計売上 $150)
  • 送料実費: -$30(物価高により-$40)
  • 手数料: 20%(eBay手数料、決済手数料、広告費など含む)
  • 関税: 15%(DDPによりセラーが負担する)
  • 仕入額:5,000円(物価高により6,000円)

A:数年前(eBay輸出 平穏期)|1ドル=110円、関税0%
B:アフタートランプ|1ドル=155円、関税15%はDDPによりセラーが負担

項目A : 平穏期B : トランプ政権下結果
①合計売上(商品+送料)$130$150+$20
本体$10㌦、送料10㌦↑
②手数料(20%)▲$26▲$30
③送料実費分▲$30▲$40コスト増
④関税$0▲$22.5コスト増
⑤手元に残るドル$74$57.5減少
⑥為替レート110円155円(+45円)円安の恩恵
⑦日本円売上8,140円8,912円増えた
⑧仕入額5,000円6,000円コスト増
⑨利益3,140円2,912円利益減 ▲228円

【衝撃の結論】 見てください。 関税(15%)を負担するものの、インフレ率を考慮して販売価格を見直しした結果、日本円に換算すると利益は一定額キープできており、「利益は微減」になります。

公的機関のアドバイザーである著者は、従来から、eBayジャパンが推奨するフリーシッピングに警鐘を鳴らしていました。その理由は

  • 地域別に送料が異なっているが、一律のフリーシッピングは利益を削って発送するしか手立てがない。
  • 物価水準、インフレを考慮した本体価格の価格変動に柔軟に対応することができない。
  • 送料のコスト増やホリデーシーズンの一時的な送料増に柔軟に対応することができます。

従来からフリーシッピングは利用しない。本体と送料は別にする考え方については、ベストマッチ(Best match)とは?上記表示させる出品ページとは?露出されない商品・売れない商品を改善できるSEO対策18点[完全保存版]の記事を参考にしてください。

確かに、シミュレーション結果から、利益は減少していますが、従来との比較では微減です。

HTSコードによって関税率が異なるというコメントをされたい方は、事前に関税を調べる方法で、ご自身でシミュレーションをしてください。

事前に関税率を調べる方法は事前に関税を調べる方法の推奨はワールドタリフをご覧ください。

トランプ関税は「対中国関税」だ

日本・米国・中国3ヵ国の越境EC市場規模

「でも、安い中国製品には勝てないのでは?」 その常識は、トランプ関税で過去のものとなります。

トランプ関税の影響は、日本からアメリカへの輸出より、中国からアメリカへの輸出へのインパクトが大きいのです。シミュレーションで解説します。

日本からの輸出

経済産業省の調査レポートの解説については越境ECの市場規模は?中国よりもアメリカの理由をご覧ください。

シミュレーション④:中国セラーとの「圧倒的な価格差」の発生

全く同じ商品を、日本セラーと中国セラーが販売したと仮定しましょう。 セラー側で関税を負担するDDPで販売したと仮定します。 これは「誰が一番痛み(コスト)に耐えられるか」という我慢比べのシミュレーションです。

ここで、日本人セラーの圧倒的な優位性が証明されることになりました。

【前提条件】

  • 商品価格: $100
  • 送料: $30(合計売上 $130)
  • 手数料: 20%(売上合計に対して課金)
  • 関税: セラーが全額負担するDDP(日本10% vs 中国40% Orange Connex 社)SpeedPAKの予測関税率より)
  • 送料実費 : -$30㌦

日中セラー「手残り利益」デスマッチ

項目日本セラー中国セラー結果
①合計売上(商品+送料)$130$130
②手数料(20%)▲$26▲$26
③送料実費分▲$30▲$30
④関税▲$19.5(15%)▲$52(40%)$32.5の差
⑤手元に残るドル$54.5$22$32.5の差
日本円換算($1=155円)8,447円
【結果の解説】

日本セラー: シミュレーション①の結果のとおり、すべての経費と関税を払っても、手元に$54.5(約8,447円)残ります。仕入れ原価が5,000円だとしても、十分な黒字です。ビジネスとして成立します。

中国セラー: ほとんど手元に残りません。仕入を考慮すると赤字になる可能性が高いです。 市場価格100ドルの商品を製造、仕入れるのに、原価が0円ということはまずあり得ません。 つまり、中国セラーは「売れば売るほど赤字」になるため、この土俵には上がることすらできなくなっています。

このシミュレーションから分かることは明確です。

結論:グローバルレベルでのライバルは自滅する。

トランプ関税下において、中国セラーが日本セラーと同じ条件(関税負担や価格維持)で戦おうとすると、利益構造が崩壊します。 彼らは「撤退」するか、「大幅な値上げ」をするしかありません。

結果として、空いたシェアは、生き残った日本セラーが総取りすることになります。 これが、数字が示す「日本セラー独り勝ち」の根拠です。

勝ち残るために今すぐやるべき「3つの生存戦略」

とはいえ、今まで通り「何も考えずに薄利多売」で勝てるほど甘くはありません。 このトランプ関税による影響を最小化、利益を最大化するために、戦略をシフトしましょう。

薄利多売の新品から「高利益」の中古商品へ

関税は定率(%)でかかります。利益率が低い新品転売などは影響を受けやすいです。 一方で、中古カメラ、楽器、釣り具、骨董品など、日本独自の「高付加価値商品」は、多少価格が上がってもマニアは購入します。

ツールで「守り」を固める

関税などの外部要因が不安定な時こそ、内部のコスト(作業時間)を徹底的に削る必要があります。 手動でリサーチや出品をしていては、変動に対応できません。
ツールを使って固定費(時間コスト)を圧縮し、浮いた時間で「利益の出る商品」を探すことに集中してください。

正しい情報を武器にする

噂に惑わされないでください。 情報は刻一刻と変わります。
公的機関のアドバイザーとして、常に最新の「一次情報」に基づいた対策を発信しています。

知らないと危険!米国向け輸出の最新ルール デミ二ミスルール完全撤廃

【目次】
00:00:00 はじめに
00:00:22 大事なルール変更への注意喚起
00:00:40 関税免除撤廃の概要と施行時期
00:02:14 SpeedPAKによるDDP導入とセラー保護の仕組み
00:02:51 DDP配送の具体例と日本セラーへのメリット
00:03:44 セラーが行うべき3つの具体的な対応策
00:04:36 関税率・HTSコード検索ツールの紹介
00:05:10 顧客への関税説明フレーズ
00:05:28 おわりに

まとめ

相場の格言に「人の行く裏に道あり花の山という言葉があります。 みんなが「怖い」と言ってeBayから退場している今、市場には「需要」が取り残されています。

  • 中国セラーがいなくなる
  • インフレ格差は続く
  • 円安の恩恵も続く
  • ライバル(日本人セラー)も勝手に減っていく

これほど条件の揃ったタイミングはありません。 必要なのは、「正しく恐れ、正しく対策する」ことです。

もし、「具体的な関税対策をもっと知りたい」「自分の扱っているジャンルはどうなるのか知りたい」という方は、ぜひ私が提供しているツールの詳細や協会の情報をチェックしてみてください。

今なら、この混乱期を乗り越えるための「特別サポート」も用意して、意欲あるセラーさんをお待ちしています。

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