あなたはFDA(Food and Drug Administration / アメリカ食品医薬品局)についての基礎知識をご存じですか?本記事では越境ECビジネスの起業家である著者が、FDA(Food and Drug Administration / アメリカ食品医薬品局)の定義、FDA認証が必要な商品、FDAの取得方法について解説させていただきます。
【FDAの基礎知識】FDA認証が必要な商品・取得方法・米国向け食品輸出の例[最新版]
FDA認証を行うべきターゲット企業とは?
eBay輸出で実践されている方には、あえて手間がかかるFDA認証を取得して、評価稼ぎや薄利での販売について推奨できませんが、
- 自社で商品を持っており、販路拡大で越境ECを想定している法人様
- 利益が確保できる
- 継続して取引が見込める
- 本業とのシナジー効果が見込める という場合、eBayなどの海外プラットフォームでは禁止リストに入っているため、直販サイトでチャレンジしていただきたいと思います。
FDAが化粧品自主登録プログラム(Voluntary Cosmetic Registration Program:VCRP)を停止とし、化粧品現代化規制法(Modernization of Cosmetics Regulation Act of 2022:MoCRA)へ切り替えることになった。
FDAとは?
FDAはFood and Drug Administration「アメリカ食品医薬品局」
FDAとは「Food and Drug Administration」の略称で「アメリカ食品医薬品局」のことを指します。
FDA公式サイトには、ミッションとして「医薬品、生物学的製剤、医療機器の安全性、有効性、安全性を確保することにより、公衆衛生を保護する責任を負っていること」や、「人々が医療製品や食品を使用する際に、正確で科学的根拠に基づいた情報を入手できるように支援することで、公衆衛生の向上に貢献する責任を負っていること」などが書かれています。
FDAは1906年に設立された、日本でいう厚生労働省に似た役割を持つ公的機関であり、食品、医薬品や医療機器、化粧品などの販売・流通において、許可や違反品の取り締まりといった行政を専門的に行っています。
FDAの中でも、新薬の承認審査を担当するのはCDER(Center for Drug Evaluation and Research)と呼ばれる組織で、アメリカで医薬品を販売するためには、このCDERの承認を取得しなければなりません。
FDAから認証を受けることは、日米両国における薬機法や食品衛生法に違反しておらず、適正な商品であることを許可してもらう、ということなのです。
アメリカでFDA認証を取得せずに医薬品などを販売するとどうなる?
2019年8月、米ウォール・ストリート・ジャーナルにおいて、Amazonのマーケットプレイスにおいて、FDAの承認を受けていないにもかかわらず承認取得済みと偽った商品や、輸入が禁止されている処方薬などが販売されていることが報じられました。
FDAの認証を取得していない製品を輸出してしまうと、最悪の場合、懲役を伴う刑罰が課せられることもあります。そうならないためにも、FDAについて知っておくことが必要なのです。
FDA認証が必要な商品とは?
FDAの認証が必要な製品は多数あります。ここでそれぞれの品目について確認しておきましょう。
食品・飲料
- 果物、野菜
- 魚および海鮮食品
- 乳製品、卵
- 食品または食品成分として使用される未加工農産品
- 飼料、ペットフード
- 食品および飼料添加物
- 栄養補助食品および食品成分
- 乳児用調整乳
- 飲料(アルコール飲料、ボトル入り飲料水もこれに含まれます)
- 生きた食用動物
- パン製品、スナック菓子、砂糖を使用した菓子・ガム
- 缶詰食品
- タバコ製品(巻きタバコ、無煙たばこを含む)
食品やサプリメントを販売する際は、FDAへ事前通知を行う必要があります。
化粧品
FDAでは化粧品を一般化粧品、容器に「薬用」と記載されている化粧品もしくは効能を約束している商品に関しては医薬品としています。
一般化粧品と「薬用成分配合」化粧品ではFDAの規制も認証手続きも全く違うので、しっかり確認しておきましょう。
一般化粧品
FDAにおける化粧品の定義は『人の体に塗布したり馴染ませたりスプレーしたりする使用法で、体を美しくし、魅力を高めたり、外見を変えたりするためのもの」です。保湿剤やシャンプーのほか、練り歯磨き粉やマニキュア、香水も一般化粧品に含まれます。
一般化粧品のFDAへの届け出は義務ではありませんが、化粧品製造・梱包・配送などの業者は市場流通後に化粧品自主登録プログラム (Voluntary Cosmetic Registration Program:VCRP)が処理停止となり、化粧品現代化規制法(Modernization of Cosmetics Regulation Act of 2022:MoCRA)の提出が推奨されています。
化粧品現代化規制法(MoCRA)について
米国食品医薬品局(FDA)は2023年12月18日、該当製造業者に対して2024年7月1日までに必要事項の登録・リストアップを求める化粧品現代化規制法(Modernization of Cosmetics Regulation Act of 2022:MoCRA)のガイドラインを発表した。
このガイドラインは、FDAに対して化粧品製造・加工などの施設登録と化粧品製品のリストを提出する際の推奨事項であり、法的拘束力のある責任を定めるものではない。詳細を知りたい方はJETRO記事をご参照ください。
医薬品
医薬品には処方薬と市販薬があります。
FDAにおける定義は「人や動物の疾病の診断・治療・予防を行うために与える薬品」となり、ワクチンや、血液および血液製剤、遺伝子治療製品などの生物学的製剤も医薬品に該当します。
アメリカで医薬品を販売する際は、製造や加工、品質、製品等に関する情報をFDAに提出し、登録する必要があります。
日本では化粧品として認識されている日焼け止めや、フッ化ナトリウム成分を含む薬用歯磨き粉、薬用シャンプーなど、効果効能を容器に表示している製品は、医薬品と分類されます。その他シミ・ソバカスを消す効能や、育毛・発毛エッセンスなどの製品も薬品として取り扱われます。
医療機器(メディカルデバイス)
医療機器をアメリカで販売をする際、FDAから承認を受ける必要があります。
日本では医療機器ではない製品がFDAにおいては医療機器として取り扱われる場合もあるので注意しなければいけません。また、FDAより医療機器認証を得るためにクラス分類を知ることが必要です。
ClassⅠ:包帯、歯ブラシ、絆創膏、デンタルフロス、サングラス
ClassⅡ:妊娠診断キット、温度計、電動式椅子、輸液ポンプ
ClassⅢ:人体損傷、健康面などのリスクが大きく、高度管理が必要なもの。(人工心臓用パルプなど)
放射線機器
レーザーポインタやレーザープリンタ、補聴器、超音波歯ブラシ、マッサージ機器などが該当します。ほかには、X線装置や手荷物検査器、マンモグラフィー、電子レンジ、車載レーダー、MRI機器なども該当する機器です。
機器を輸出するにあたって登録番号が必要です。よってアメリカで放射線機器、レーザー製品を販売する際はFDAへの届け出が必須となっています。
FDA認証(許可)を取得するには?
FDA認証(許可)の取得方法
ここからはFDA認証を取得するための方法について解説します。
FDA認証を取得するには、まず、製品がFDA規制に該当するかを確認した上で、申請が必要な場合は製品がどのグループに分類されるかを把握する必要があります。
分類によって手続きが大幅に異なるため、それぞれの分類について認証を取得する際の流れや注意事項を見ておきましょう。
食品・飲料の場合はFDA申告番号の取得が必要
アメリカに食品を輸出する際にやらなければいけないことは下記の5つです。
1.製造施設の登録
2.米国代理人の指定
3.商品ラベルの英語化
4.食品安全計画の策定
5.事前通知
■施設の登録について
アメリカで消費される食品や飲料などの製造・加工・包装や保管に携わる施設を全て、FDAに登録することが必要です。
■商品ラベルについて
アメリカで販売される食品には、FDAに承認された方法による栄養分析の結果を表示するためのラベルを貼らなければなりません。
5つの項目「食品表示必要条件」「食品名」「正味内容量表記」「成分リスト」「強調表記」において、FDAの規則にのっとったラベル表記が必要です。
FDAによって規制されているのは食品そのものだけではありません。食品の製造過程や調理過程で使用される器具、食器、包装など、食品に直接接触する物質も規制されています。 食品接触物質に使用されている構成物質により、登録の仕方や要不要が異なってきます。これは添加物、着色料についても同様です。
一般化粧品の場合はFDA申告番号の取得は不要
FDAにおいて、一般化粧品は製造者と梱包業者の登録と原材料詳細の届出は任意となっているので、認証を取得するのは義務ではありません。
Fedexカスタマーセンターへ確認した所、食品輸出のような事前申告番号(Prior Notice Confirmation Number/以下PNC#)の取得は必要ありません。
病気の診断、治療、症状の緩和や予防等に関わる化粧品は医薬品として規制される場合があるので、その点は注意が必要です。
医薬品の場合
FDA認証において、臨床試験データの信頼性や整合性が非常に重要な要素となります。Good Clinical Practice(GCP)によって定められている国際的な基準に適合したクリニカルリサーチ(臨床研究)が必要です。
医療機器(メディカルデバイス)の場合
FDAからの許可取得・登録のためには、製品のクラス分類そのクラスに応じた申請の準備、登録作業を行う必要があります。
放射線放出装置の場合
アメリカで販売される放射線放出機器やレーザー放出機器はFDAへの登録が必要で、機器の輸出には、アクセッション番号と呼ばれる登録番号を取得する必要があります。また、外国施設の場合はアメリカに住所を持つ代理人を任命する必要があります。
FDA認証(許可)手続き
FDAアカウント登録
FDAの登録手続きを解説させていただきます。
事前申告番号(PNC番号)を取得するために、まずFDAのアカウントIDとパスワードを取得します。
FDAのサイトに入り、Create Accountへ入ります。
申請者の名前や住所などを入力していき、アカウントを取得します。取得自体は、10分程度でできます。
FDAのアカウント登録について詳細を知りたい方はFedexのサイトをご覧ください。
製造施設の登録
食品輸出などにおいて、事前に製造施設を登録する必要がある場合は、以下の手順により登録を行います。
FADの製造施設の登録について詳細を知りたい方はJETRO食品施設登録ユーザーガイド:ステップバイステップ操作手順をご参照ください。
公益社団法人日本缶詰瓶詰レトルト食品協会の発表によれば、製造施設を持っていない並行輸入を行う第三者が施設番号を登録し、既存の製造施設登録番号が取り消される事例が発生しているようです。ご注意ください。詳細は発表記事参照
事前申告番号(Prior Notice Confirmation Number)の取得
PNC番号の取得時に必要な情報は以下となります。
- 発送人様情報 (会社名、住所)
- 受取人様情報 (会社名、住所)
- 食品製造会社情報 (会社名、住所)
- 食品の詳細 (内容物、内容量、梱包形態、食品の加工方法)
- ご利用頂くフェデックスの国際航空貨物運送状番号
- アメリカへのフライト到着日時及び空港コード ※事前にカスタマーサービスにてご確認ください。
FDAの事前申告番号(Prior Notice Confirmation Number)の取得について詳細を知りたい方はFedexサイトをご覧ください。
FDAの事前申告番号の取得方法について詳細を知りたい方はFedexサイトをご覧ください。
FDA申請方法の動画解説
以下のFDA申請方法の動画は大変分かりやすいです。
FDA申請代行業者
申請の代行を実施している法人があります。必要に応じて、越境ECサポート法人様へ連携させていただきます。
アメリカ向け食品輸出
アメリカ向けに食品を発送する場合のケースを記します。以下はFedexサイトからの引用になります。
FedExで取り扱いできない食品
- 生鮮食品等腐りやすい食品(冷蔵・冷凍を要するものを含む)
- 牛豚鶏肉やエキスを含む食品 例:カップラーメン等
- 個人発または個人宛のお酒(酒類)
- 個人からのサプリメント
申告金額100 USD以下の個人宛ギフトで自家製の食品
航空貨物運送状とコマーシャル・インボイスの準備が必要です。
航空貨物運送状とコマーシャル・インボイスの品名欄には、以下の情報を記入して下さい。
1:FS(Food Shipmentの略)
2:Personal Gift(ギフトの場合)
3:Homemade(自家製の場合)
4:食品名
※宛名は荷送人、受取人共に会社名を空欄で個人名のみ記入して下さい。
<記入例>
自家製のクッキーをギフトとして発送する場合
FS/Personal Gift, Homemade, Cookie
申告金額100 USD以下の個人宛ギフトで購入した食品
航空貨物運送状、コマーシャル・インボイスの準備が必要です。
さらには、FDA の事前申告番号(Prior Notice Confirmation Number/以下PNC#)の取得とPNC#取得時の画面のプリントアウトが必要です。
航空貨物運送状とコマーシャル・インボイスの品名欄には、以下の情報を記入して下さい。
1:FS(Food Shipmentの略)
2:食品名
3:PNC# (12桁)
4:製造会社名
5:製造会社名とその住所
<記入例>
ABC製菓で製造した煎餅を発送する場合
FS/Rice Cracker/012345678901
Manufacturer: ABC Seika Co., Ltd. (X-X-X Ginza, Chuo-ku, Tokyo, Japan)
申告金額200 USD以下の個人消費目的の場合
航空貨物運送状とコマーシャル・インボイスの準備が必要です。
航空貨物運送状とコマーシャル・インボイスの品名欄には、以下の情報を記入して下さい。
1:FS(Food Shipmentの略)
2:Pesronal use only(個人消費の場合)
3:Homemade(自家製の場合)、もしくはNon-Homemade(購入品)
4:食品名
5:製造会社名とその住所(Homemadeの場合はご記入は不要です)
※宛名は荷送人、受取人共に会社名を空欄で個人名のみ記入して下さい。
<記入例>
ABC 製菓で製造した煎餅を個人消費として発送する場合
FS/Personal use only, Non-Homemade, Rice Cracker
Manufacturer: ABC Seika Co., Ltd. (X-X-X Ginza, Chuo-ku, Tokyo, Japan)
上記以外の目的で発送される場合
航空貨物運送状、コマーシャル・インボイスの準備が必要です。
さらには、FDA の事前申告番号(Prior Notice Confirmation Number/以下PNC#)の取得とPNC#取得時の画面のプリントアウトが必要です。
航空貨物運送状とコマーシャル・インボイスの品名欄には、以下の情報を記入して下さい。
1:FS(Food Shipmentの略)
2:食品名
3:PNC# (12桁)
4:製造会社名
5:製造会社名とその住所
<記入例>
ABC製菓で製造した煎餅を発送する場合
FS/Rice Cracker/012345678901
Manufacturer: ABC Seika Co., Ltd. (X-X-X Ginza, Chuo-ku, Tokyo, Japan)
【FDAの基礎知識】FDA認証が必要な商品・取得方法・米国向け食品輸出の例まとめ
本記事では越境ECビジネスの起業家であり、ミラサポ認定支援機関・著者が、FDA(Food and Drug Administration / アメリカ食品医薬品局)の定義、FDA認証が必要な商品、FDAの取得方法について解説させていただきました。ぜひ、参考にしてください。